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徳島新聞6・28特集より

 投稿者:oha  投稿日:2009年 6月29日(月)04時36分36秒
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  移動編集局 那賀郡 たからもの−農村舞台を訪ねて【8】
(特集解説)江戸以降に神社の境内に建てられ、人形浄瑠璃や素人芝居が盛んに演じられた農村舞台。那賀町は、その宝庫と言われるほど多くの舞台が残る。廃れゆく農村舞台の保存と再生・活用に汗を流す人々の営みを追う。(編集委員・谷野圭助)=2009年6月20日から連載
■川俣18年ぶり復活へ結束■ (2009/6/28 14:44徳島新聞)
竹に虎、飛鶴、羽根、雲竜・・・。舞台の奥から次々と運び出されてくる襖(ふすま)絵に、思わず目を見張った。8枚1組になった襖を並べると、大きな1枚の絵ができる。那賀町川俣(旧上那賀町)の「礫(つぶて)神社」境内にある川俣農村舞台で、大事に保管されている襖絵を地元の人に見せてもらった。

 「唐紙(からかみ)」とも呼ばれる襖絵は全部で95枚。明治期に泥絵の具で描かれたとされ、100年以上を経た今も鮮やかな色彩を保つ。1991年、この襖絵と舞台が上那賀町の有形民俗文化財に指定されたのを記念し、この舞台で40年ぶりとなる人形芝居公演も開かれた。

 その後、舞台は再び沈黙していたが、川俣での公演を望む多くの人の力で、今年10月18日、18年ぶりに復活する。川俣農村舞台が誇る襖絵を使った「襖からくり」も、大きな見せ場。住民たちは準備に走り始めた。

 4月中旬、川俣集会所に地元の住民16人が集まった。公演準備の実質的なスタートとなる川俣農村舞台保存会の総会。徳島市内から復活公演の世話人や舞台に立つ人形座の代表らも訪れ、地域の住民と歓談した。

 総会の席上で、こんなやりとりがあった。

 「私たちも唐紙の操作に携わるんですか」(住民)。「もちろんです。地元の人が楽しみ、参加できるイベントでなければ意味がない」(世話人)

 今秋の復活公演を地元住民に持ち掛けたのは、一級建築士の森兼三郎さん(59)=徳島市一宮町片山=と、城北高校民芸部OBらでつくる「青年座」の事務局長、小原伸二さん(49)=徳島市春日3。徳島中央公園(徳島市)での小屋掛け公演などで川俣の襖絵を過去に何度か借りていたことから、「今度はぜひ地元で」と話が持ち上がった。

 森兼さんらは考えた。単発の公演ではなく、地元に舞台の保存会をつくり、公演を継続させられないか。地元との交渉に当たっては「地域の人の気持ちが一番。無理強いはしない」との考えを貫いた。

 復活公演の開催を働き掛ける会合は、昨年11月2日に川俣集会所で開かれた。復活の呼び掛けに対して「やってみたい」と最初に声を上げたのは竹花藤江さん(64)。

 「地域にこんだけええもんがあるし、やってみんと始まらんでしょ。せっかくいい話が舞い込んできたんだから、これに乗らなきゃと思って」

 竹花さんには、18年前の公演で披露された襖からくり「千畳敷」の記憶が鮮やかに残っていた。疲弊する地域を何とかしたいとも考えていた。

 同月21日には川俣農村舞台保存会が発足。今年5月までに集落の全世帯17戸32人が名を連ね、森兼さん、小原さんも加わった。地元の尾谷常雄さん(81)は「外から勧められてなかったら、地元のもんだけで『やらんか』という声は出てこんかった」と振り返る。

 森兼さんらは「外部の視点」から地域の魅力を唱え続けた。

 「川俣の襖絵は、昔のままのいい状態で保存されている。使ってこそ、民俗的な価値が出る」(森兼さん)「川俣の舞台には、なんせ風情がある。このまま閉めっぱなしで朽ちていくのはもったいない」(小原さん)

 保存会会長に選ばれた蔭原義雄さん(58)は「地域のお年寄りも『唐紙をもう一度見たい』と楽しみにしとる。最近は、町内の舞台もいくつか活用され始め、徳島の文化のよさが見直されてきとると思う」と話す。

 地域の「たからもの」に光を当て、再評価する試みが始まった川俣舞台。復活した他の舞台に刺激されるように、川俣の人々も立ち上がった。(編集委員・谷野圭助)
【写真説明】森兼さん(左)から襖絵の説明を受ける蔭原義雄さん(中)=那賀町の川俣農村舞台

http://www.topics.or.jp/special/124546640934/2009/06/2009_124616798239.html

 
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